低温調理肉会をやった

数年前の話なのですが、KickstarterでNomiku2という低温調理ガジェットのクラウドファンディングがありました。

4つ分のプランで出資するとかなり安いやんけということで知人と一緒に出資してたのですが、予定より2年以上遅れて届くという結末によりやる気がスポイルされてしまい、届いてからも結局、あまり低温調理をやっていませんでした。

ですが今回「肉やるぞ!!」と思ったのでやりました。平日の昼から肉会に参加できるようなゴミ人間を募集という旨でツイッターにて呼びかけたところ、7人ほどのゴミ人間達が集まった。

今回調理したのは5.5kgくらいの肉で、内訳は多分以下の様な感じでした

  • 豚ヒレ … 1kgくらい
  • 豚肩ロース … 2kgくらい
  • 牛肩ロース … 1.5kgくらい
  • 豚トロ … 1kgくらい

私が低温調理肉を初めて味わったのがこの時で、読んでもらうと分かるんですが、かなり赤めの牛肩ロースにポテトピュレを付けてひたすら食うというやつでした

この時のポテトピュレはカルピスバターを使ったもので、普通のバターで作ったものとは比べ物にならないくらい美味しいやつです

これと低温調理の牛肩ロースとを一緒に食べることで、程よい弾力の肉を噛み切る食感+肉汁+醤油+ポテトピュレのなめらかな触感とバターの味というコンボによって信じられないくらいおいしくなる。食感って重要なんだなという事に気づくやつです

そういうわけで今回のメインの目的はあのローストビーフの再現でした。正確に言えばあのレベルに持っていくためには牛肉を何度で何時間やるか、芋とバターの比率はどれくらいか、などの試行錯誤が何度か必要なので今回は成功しないだろうなという前提でやりました。あと何回か必要になると思います。実際に今回は温度が高すぎて肉が微妙でした。それでもおいしいけど。

調理の様子

今回は割と初めて会う人とかが多かったので安全側に倒して豚肩ロースと牛肩ロースを63度で4時間くらい、豚ヒレを60度で3時間くらいでした。

参加者にNomikuとはまた別の低温調理デバイスであるAnovaを貸してもらったので、2台体制で挑みました。肉の部位によって最適な食感を得られる温度が全然違うので低温調理肉会をやるときは複数台の低温調理デバイスがあると便利です。あとでかい鍋が複数。

こっちはNomiku2です。60度設定で豚ヒレに熱を入れています。

こっちがAnovaです。豚肩ロースと牛肩ロースを63度設定でやっています。

Nomiku2とAnovaを同時に使ってみた感想ですが、Nomiku2の方は鍋などに固定する部分がクリップだったりコンセント用のケーブルが長くて取り回しが楽、Anovaの方はクランプ式なのとケーブルが短くて若干取り回しが面倒という感じでした。ただし、Nomiku2の方は使ってるうちに「Caution: Hot」というエラー文が表示されると共に止まるという意味不明なことが起こったので総合的にはAnovaの圧勝です。60度程度の設定でなぜ…?

熱が入るのを待ってる間の前座として豚トロを焼いて提供しました。

豚トロは低温をやるような部位ではないと思うのでそのまま焼いて正解でした。ミルでガリガリやるタイプの塩と胡椒で食うと美味いです。あと柚子胡椒やわさび醤油などでもいけました。

その後しばらくしてるうちに豚ヒレができたので食べます。

 

開封の儀。今回はね、えーっと、豚ヒレの開封レビューをですね、していきたいと思うんですけど。

いい感じだと思います。もう0.5度攻めて59.5度でもよかったかな…

豚ヒレは醤油ベースの味がよく合うので、わさび醤油やからし醤油が安定です。でもからしがなかったのでマスタードで代用した。

それから1時間くらいして豚肩ロースと牛肩ロース完成の時間になったので、ポテトピュレを作りはじめます。

茹でて、皮を剥いで、バターをまるまる450g入れて、マッシャーで潰します。なめらかな触感になればなるほど良いので、もったいないですが皮は捨てるか別途油でカリカリに焼いて食うとかすると良いと思います。また、マッシャーはかなり力仕事なので、ブレンダーがあると疲れずにできますし、多分よりなめらかな出来上がりになると思います。わからんけど。

あと無塩バターを使いましたが有塩バターの方がよかったのかどうかは不明。

ポテトピュレができたら肉です。まず牛肩ロースをやりました。

今回、ガスバーナーがあったのでガスバーナーで表面を焼いてみました。

低温調理肉は最後に表面を焼いていい感じに焦げ目を付けるとおいしいんですが、その時あまり長時間焼いてしまうと肉の内部まで火が通ってしまい、せっかく低温で熱入れされた肉質が変性してしまうので、できるだけ肉の表面だけ上手いこと焼きたいという事情があります。私の場合、低温の熱入れが完了した時点で一旦冷水にさらし、冷蔵庫でしばらく冷やし、その後表面を高温で焼くという方法をよくやるんですが、うまいことやらないとそれはそれで肉の内部が冷えてまずくなってしまうので中々難しい問題だと思います。

そこで、ガスバーナーなら超高温で高速に表面だけ焼けるのでは、という仮説のもとに今回導入したという経緯があります。

出来上がりはこんな感じです。結論から言うとバーナーは微妙で、というのもフライパンで油を使って焼いた時と違ってあんまりカリカリ感が出ませんでした。カリカリというよりはシュウッという感じの表面。これはこれでいいのかもしれないけどよくわかりません

肝心の肉質ですが、割と安全側に寄りすぎていてパサパサ感が出てしまっていた。59度くらいまで攻めるべきでは、という感想。そのため残りはできるだけ薄く切って提供しました。

まあそれでもポテトピュレと合わせて食うとおいしくて、各位うまいうまいと一瞬で平らげてしまった。一瞬でなくなったので上の様な曖昧な写真しかなかった。

最後に豚肩ロースです。これが一番量あった気がする。

開封の儀直後はこんな感じ。脂は食えないので包丁でなんとか削ぎ取っていきます。

最終的に4分割くらいになりました。

削ぎ取ったでかい脂を火にかけてラードを取り出します。これを使って焼けば油を引く必要がない。

可食部分を焼いている様子です。

いい感じだと思う。豚肩ロースは63度がベストなのでは?という気配がしました。しかし比較実験は重要なので次回は62度で様子見してみます。

以上でした。余談ですが、前日の深夜に肉のハナマサへ肉の買い出しに行ったところ、道中いきなり後ろから知らないおじさんによる「喧嘩売ってんのか?」の概念がやってきて警察沙汰になりました。治安が悪い町に住んでいると色々な事が発生し人生に深みが出る。

This article was updated on 17年11月30 16:31